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人間は死んだ時、その事実を惜しみどれ程の人が悼み涙を流してくれるかで、その人物の価値が分かるという言葉がある。 その言葉の定義に当て嵌めるならば……高町なのはという人間は多くの人から愛されていたのだろう。 彼女の葬儀……出身世界での彼女の立場と事情を考えて行われた地球とミッドチルダでの二度の葬儀。 多くの者が弔問に訪れ、参列し、嘆き涙を流した。 かつて共に彼女と戦った同僚である教導隊の面々も。 彼女が次代を担う存在として鍛え上げた成長した教え子たちも。 彼女の上司、部下、知人、友人に至るまでの多くの者たちが。 彼女の喪失という事実を悼んだ。 だがその葬儀の参列者の中に、終ぞ姿を現さなかった彼女にとって他人とも言えない近しい人物が数名いた。 無限書庫の若き司書長――ユーノ・スクライア。 彼こそが、その例外の内の一人でもあった。 魔法少女リリカルなのはs.CRY.ed 幕間1 ユーノ・スクライア 「司書長、ではお先に」 「うん、お疲れ様。早く帰ってゆっくり休みなさい」 「あ、はい。……司書長も、体にはお気をつけて」 「あはは、大丈夫。このくらい平気だよ」 残務を終えた司書が一日の務めを終え退室していくその姿を、ユーノ・スクライアは優しげな表情と口調にて見送る。 彼女で残務に残っていた司書も最後。自分ひとりが残された広大な無限書庫の中で、ほんの数秒だけ休憩がてらに背筋を伸ばす行為を行った後、再び仕事へと集中するように戻っていく。 今日中に済ませねばならぬ仕事が残っているわけでもなければ、期日にはまだ余裕のある案件が少々残っている程度に過ぎない。 夜も遅くなりかけ、疲労を溜め込むくらいならば本来は彼もまた仕事を切り上げ帰って休むというのが賢い選択というものである。 だが―― 「……どうせ、明日は休みだしな」 そんなものなどまるで必要とはしていない、そう言わんばかりの口振りで漏らすように最も手間取りそうな作業から手を出していくことにする。 ああ、どうせならこの仕事、家に持ち帰って出来ないものだろうか……等と本気で考えながら只管に作業のみにユーノは埋没していった。 こうして仕事をしていることが一番落ち着く、そして何よりも己にとっては救いなのだとユーノ・スクライアは本気で思ってもいた。 広大な無限書庫で、舞い込んでくる大量の仕事を我武者羅になって片付け、それだけでなく過去の資料を改めて整理し直したり、部下の手間取っている案件を手伝う(事実上は自らの手で片付けたり)等…… 明らかなオーバーワーク。ワーカーホリックという言葉そのものを体現したかのようなその姿。 この半年で、すっかり定着してしまったユーノ・スクライアの姿がそれだった。 寝て、起きて、食べて、仕事をして、また寝て。 凡そ、この半年間のユーノ・スクライアの生活を表すとしたら正にそれだった。それだけだった。 体が覚えている生活習慣をリズムのように繰り返す。 淡々と、延々と、黙々と……一種の惰性のように。 体が痛めつけるように、悲鳴を上げて拒絶されても構わずに、そんな風に延々とただ仕事という作業に埋没し、何も考えず、何も思わず、何も抱くことなく。 ただそうやって生き続けた。 仕事に没頭していれば、省みる事も無く、何もかもを捨て去って、一心にそれのみに己の全てを傾けることが出来たから。 只管に視野を狭め、只管に耳を塞ぎ、只管に思考を放棄し続けて。 逃げることの出来ない逃避先に執着するかのようにしがみ付き、それのみを行い続ける。 部下や友人たちからの忠告や心配の全てを遮って、省みることも無く。 この半年の間、彼はそうやって生き続けていた。 幽鬼にように頼りない足つきで何とか自宅にまで辿り着く。 そのまま何をするわけでもなく寝室に直行、ベッドにうつ伏せに倒れこむように寝転がる。 働きすぎて蓄積した疲労の限界か、急激に襲ってくる睡魔は抗うことも出来ないほどに強烈なものだ。……尤も、抗おうなどと思ったこともないわけだが。 どうせなら、このまま永眠させてくれよ。 いつもそんなことばかりを思う。いや願っているのか。 ……そうすれば、“彼女”にまた逢えるかもしれない。そう思ってもいたから。 しかし…… 「……でも……合わせる……顔もない……か……」 こんな無様な情けない姿、彼女に見せてしまえばそれこそ説教もの。否、愛想を尽かされて呆れて逢ってもくれないかもしれない。 何だ、じゃあ結局逢えないじゃないか。そんな失望と悲しみだけが霞んでいく意識の中で胸中に重く広がり淀んでいく。 生きていても彼女に逢えない。死んでしまっても多分逢ってもらえない。 ……じゃあ、僕はどうすればいいんだろう? こればっかりは無限書庫のどんな資料を漁ったところで出てこない。本当の難問だ。 答えなどまるでない奈落の底の絶望の深さを実感しながら、ユーノ・スクライアの意識は闇の中へと沈んでいった。 ……出来るなら、夢はみたくない。そう強く願いながら。 結局、誰が一番悪くて間違っていたのだろうか? 究極に答えも出ない下らない問いではあるが、いつも考えながら結論として抱く答えは一つだ。 ――即ち、ユーノ・スクライア。 己こそが全ての元凶なのではなかろうかと、そう考えられずにもいられなかった。 十年前、ジュエルシードなど発見しなければ。 事故とはいえ97管理外世界などにアレを落とさなければ。 責任感だなんだと見栄を張らずに管理局に事情を報告して任せていれば。 彼女に手助けしてくれるように頼みさえしなければ。 ……いいや、そもそも自分と彼女が出逢ってさえいなければ。 彼女――高町なのはは死ななくてもよかったのではないのか? こんな世界に彼女を巻き込み、その道を進ませてしまった。 取り返しの出来ないことをしてしまった。 なのはが死んだ責任、それは元を糺せば自分のせいではないか。 そう、ユーノは自分自身を責めずにいられなかった。 ユーノ・スクライアは責任感の強い人間でもある。 ジュエルシードの発見、その事故による紛失とそれ故の単独での回収。 余程に責任感が強くなければ、そんなことはまず出来ない。そもそもそう動くことも出来ないだろう。 勇猛果敢な人物の陰に隠れ、忘れ去られがちでもあるが、彼もまた己のやってきた事にはしっかりと責任をもまた抱く人間なのである。 故にこそ、高町なのはがあの日、死んだと知らされたあの時、ユーノは耐え切れなかった。 生来の争いを好まぬ温厚な性格も故にか、基本人を憎むということが出来ない彼にとって初めて生まれた得体の知れないその感情。 持て余すように、否、それに構うだけの精神的余裕が無かったユーノにとって、それは自虐の方向へと向かざるを得なかった。 なのはが死んだことを認められなかった。受け入れがたかった。認めたくなかった。 その事実だけは、我慢ならなかった。 感情の捌け口が、苛立ち憎む対象を定められなかったユーノはだからこそ根本の原因こそを憎むようになっていた。 それが自分自身。あの日、あの時、高町なのはという少女の人生の転換期を起こさせてしまった自分自身。 自分さえいなければ彼女は死なずにすんだのではないのか……だからこそ、そんな風に自分を責めなければユーノ・スクライアは自分自身を保つことさえ出来なくなった。 それこそ自殺も何度も考えた、実行しようと寸前までいったことだってある。 けれど出来なかった。……それが彼女への赦しを得る為の“逃避”でしかないように思えてならなかった為である。 だからユーノ・スクライアがせめてもの贖罪……犯した罪の贖いとして自らに科したのが自分を殺すこと。 ただ只管に仕事に埋没し、誰かの為に働いて、その中で無様に、苦しみながら死ぬ。 彼女が辿った人生……その痛みや苦しみを万分の一でも自分もまた味合わねば赦される筈もないのだ、そう自分に言いきかせた。 誰かの為の仕事の中で、働き、戦い続けて……そして死ぬ。 それがユーノ・スクライアが無意識の内に贖罪と称して仕事の中へと逃げようとした理由だった。 ピンポーン。 それが自身の住まうマンションの部屋の呼び鈴が鳴らされた音だということにユーノが気付いたのは二度、三度と再び同じ音が鳴らされてからだった。 死んだようにベッドへとうつ伏せ眠り続けていた彼の意識は、その無粋な音によってあっさりと現実へと引き戻されてしまった。 「……誰だよ、いったい」 ポツリと小さく愚痴を漏らしながら不快気に眉を顰ませたユーノではあったが、これ以上続けて呼び鈴を鳴らされては堪らないと思い仕方が無いので応対する為に玄関へと向かう。 ただ寝に帰るだけになってしまっている我が家には、この半年で驚くほどに生活臭すら消えてしまった雰囲気であるが、それを今更にだからといって気にするユーノでもない。 むしろ彼にとって現状で最も関心があったのは、わざわざこの休日に自分を訪ねてきた人物が一体何者なのかというその一点のみだ。 なのはが亡くなって半年、まるで文字通りに仕事に逃げたユーノにとっては親しい友人たちはもはや寄り付いても欲しくない邪魔な存在でしかなかった。 誰もがお門違いな鬱陶しい気遣いを見せて自分に接してくること、それにウンザリしていたユーノはそれ故に自らで強く彼らを拒絶した。 連絡を絶ち、訪問にも応えず、徹底的に無視して仕事が忙しいという建前を盾に逃げた。 一人、また一人とそれでも諦めずにユーノを説得しようとしていた友人たちもまた、頑なな彼の態度にとうとう諦めたように離れていった。 それでいいと思った。後悔など欠片も浮かばなかったし、罪悪感で痛む心そのものが壊死していたユーノにとってそれはむしろ解放されたといっていい事実でしかなった。 自ら進んで皆との和を絶ち、孤独の闇へと落ちてしまったこと。 ……きっと、彼女が知れば本気で怒った事だろう。 ……いや、そんな事はどうでもいい。関係の無いことだ、考えるな。 自らの思考の致命的な脱線を無理矢理に修正しながら、兎に角、そういうわけでもう訪れるはずも無い此処へと今更訪ねて来たのは一体何者なのだろうかという考えへと戻る。 これでただの宅配便の類だったのなら笑えるし、むしろユーノも強く望んでいたのだが…… 「……どちら様ですか?」 「僕だ。クロノ・ハラオウンだ」 ……生憎と、運命の神様は早々そんな都合の良い展開は許してくれないらしい。 内心で神への罵倒と呪いを百通りほど並べながらも、しかしユーノはインターフォン越しの来訪者たる久方ぶりの友人のその姿に戸惑いを見せていたのも事実だった。 「久しぶりだな。かれこれ三ヶ月ぶりといったところか?」 「……そうだっけ。よく覚えてない。……それで何か用?」 クロノの言葉にぶっきら棒にそう応じている自分の姿は、或いは傍から見れば拗ねているだけの子供にしか見えないのだろうなという自覚がユーノにもあった。 近所のカフェテラスにて向かい合って席へと着いているこの現状……ハッキリ言ってユーノにとっても面白くもなんとも無いのは当たり前の事実だ。 本当なら自室で篭城を決め込んで追い払いたかったというのに、仕事関連で話すこともあるからなどと言う口車にホイホイ乗せられて外へと連れ出されていた己の迂闊さをユーノは呪いもしていた。 「……前にも言ったが、そういう態度は無理をし過ぎていて君には似合っていないぞ」 「放っといてくれ。僕の勝手だろ?……で、本当にさっさと用件を言ってくれ、折角の休日を君と過ごして潰す心算なんてこっちにはないんだ」 そうは言っているものの、実質今のユーノにとって休日というのはただの苦痛でしかない。逃避先であり考える事を放棄して作業へと打ち込める仕事を奪われる事は、彼にとって考えたくも無いことをどうしても思い出さされてしまうだけに苦痛の時間でしかない。 だからこそ出来るだけ纏まった休みを取ろうともせずに、単発の休日もただ自室で只管眠ることだけに費やして潰すことにしていた。 ……いっそのことギャンブルか酒にでものめり込めていればまだ救いがあったのだろうが、悲しいことにそれらはユーノ・スクライアにとっては致命的に噛み合わなかった。 「新しい研究論文の作成中か? 最近、学会にも顔を出していないようだし、そろそろ復帰するのか?」 ……研究? ああ、そう言えばそんなものにも没頭していたかと今更のようにユーノは初めてソレを思い出していた。 副職……というよりも趣味の領分でやっていたソレは、あの日を境にスッパリと切り捨てた。 下らないと思ったから。熱が冷めた、そんなものに意識を傾ける余裕が無かった。 そして何より――― 「……今更さ、あんなこと続けて何になるのさ?」 クロノの言葉を馬鹿にしたように鼻を鳴らしながらそれをユーノは切り捨てた。 そんな事して何になる? そもそもあんな娯楽と大差ないものを続けることにどんな意味がある? ……否、今更自分に楽しみを持つなどということがどうして許される? そもそも自分はどうしてのうのうと今も生きている? どうしてもっと苦しんでいない? 彼女をこんな世界へと巻き込んで、挙句の果てに死なせてしまったような罪深い罪人がどうして今も生きていて、人生に楽しみなどというモノを見出すことを許せる? そんなわけがないだろう。そんな茶番が許されていいはずが無い。 自分は罪人だ、贖罪をしなければならない。強すぎる生来からの責任感故にかそれは今のユーノにとって義務とも言っていいものになっていた。 償うことしかしてはならない。そう思っていて、それだけが今己が生きていてもいい理由だと思っているユーノにとって自身の幸せなどと言うものはもっての外だ。 だからこそ、少しでも自分に出来る社会貢献の在り方を償いの形へとする為に、ユーノは仕事にのみ没頭し続けた。……否、それを没頭し続けている理由にしようとしていた。 仕事に生きて、仕事に死ぬ。 彼女がそうしたというのなら、自分もまたそうしなければならない。 彼女よりも多く傷つき、多く苦しみ、そしてみっともない無様な形で最期を遂げなければならないのだ。 そうでなければ、彼女への償いには決してならない。 だからこそ――― 「ユーノ、君はそれが彼女が望んでいることだと思っているのか?」 そんなやり方が、結局は自分本位でしかない贖罪と言う名を借りただけの自己満足を、それこそ彼女が許すのかとクロノはユーノへと問い質す。 「……関係ない。僕は僕が決めたやり方で彼女に償う。……そうしなきゃならない責任が僕にはあるんだ」 全ての始まりは自分が原因だったのだ。ならば尻持ちや幕引きを行うのもまた自らであるというのは道理だ。 それがせめてもの高町なのはという少女を愛したユーノ・スクライアの矜持でもあり誠実さだとも信じていたからだ。 強固なまでの信念、しかしクロノがユーノの中に垣間見たのは十年前のプレシア・テスタロッサを彷彿とさせる妄執でしかなかった。 「……世界は、こんなはずじゃなかったことばっかりだ」 ユーノを真っ直ぐに見据え、目を逸らさないようにしながらクロノはハッキリとそう告げる。 「ずっと昔から、いつだって誰だってそうなんだ」 「………るさい」 「そんな辛い現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは個人の自由だ」 「……うるさい」 「だがな、ユーノ。……君自身がどう思おうと、どういう償いとやらを選んだとしてもこれだけはハッキリと言えるぞ」 「―――うるさい!」 耳障りな綺麗事、正論ばかりを並べ立てて告げてくるクロノが我慢ならないと言った様子でユーノは怒鳴りながら彼の胸倉を掴み上げる。 「そんな綺麗事はうんざりだ! 僕が決めた僕の償いだ! 誰にも邪魔なんてさせないし、口だって挟ませない! もうこれくらいしか……こんなやり方じゃないと僕は彼女に顔向けだって出来ないんだ! だから僕から最後の生き甲斐を奪うな!」 睨みつけが鳴りたてて並べる怒声、その願望。 目を血走らせ、苦悩に顔を歪ませながらも必死になってそれにしがみ付かずにはいられない、それだけしか残されていない者の執着。 無様で醜く、身勝手でみっともなくて滑稽だ。ああ、そうだろうとも。 けれど、もうこれしか自分が歩んでいい道は残されていないのだ。 だったら邪魔をせずに最後までその道を歩かせてくれればいいではないか。 誰に迷惑をかけているわけでも無い。だったら――― 「―――なのはが悲しむ」 ポツリと静かに、けれどハッキリと聞き逃す事を許さぬ強制力を伴って。 クロノは一歩も臆することも逃げることも無くハッキリと、ユーノを真っ直ぐに見据え返しながらそう告げる。 「彼女が悲しむ。そして僕らも悲しむ……それでも君は、良いのか?」 所詮は詭弁だ。死とは終わりであり、終わってしまった死者には何もありはしない。 悲しむのはいつも生者だけの特権であり、死んでしまって無に帰ってしまった者がだからと生者のその後の行いに左右されることなど決してありはしない。 悲しくともそれが現実。だからこそ自分が言っている事が詭弁でしかないことくらいはクロノ自身だって痛いほどに分かっていた。 けれど、これは理屈ではないだろう。情理を以って時に割り切ることこそが正しいと言うのなら、そんな正しさはクソ喰らえだ。 少なくとも、そこに笑顔のない正しさの何処に人の幸せがあるというのか。 「彼女が守りたかったものは何だ、ユーノ? 誰よりも傍で、一緒に始めた君がそれを分からないとは言わせないぞ」 いつだって何処かの誰かが笑っていられるように、その笑顔を守るという事を目的に、誰も理不尽に悲しみ、泣かない様にと願って戦っていたのが彼女のはずだろう。 そんな彼女に惹かれたからこそ、彼女に協力して管理局の判断を覆してまで彼女を行かせた事もあったのがユーノ・スクライアではなかったのか。 死者は悲しまない、ああ死人は何も語らない、微笑まない、怒る事も泣く事だって決して無い。 それは生きている人間の側の権利でもあり、義務なのだから。 そしてだからこそ、生者は死者の分までそれを引き継いで守っていかなければならないはずだ。 「彼女は笑いたかったはずだ。皆にも笑っていて欲しかったはずだ。……ならば、僕らが彼女の為にしてやれる事は彼女が愛し守ろうとした、その笑顔を今度は僕らが守っていくことじゃないのか?」 少なくともクロノ・ハラオウンはそう思っていた。 だからこそ、彼女たちを守るべき兄貴分としてそう判断し、そう受け入れて行動しようと思った。 それがクロノからなのはへと唯一示すことの出来る誠実な思いだと、そう思ったからだ。 「……ユーノ、君は―――」 「―――うるさい!」 尚も続けて説得に口を開こうとするクロノの言葉を遮るように怒鳴りながら、掴んでいた胸倉を投げつけるように離してクロノを突き飛ばしながら、ユーノはそのままその場を走り去っていく。 先程から往来の近くで何事かという言った様子で騒いでいるこちらを覗きこんでいた野次馬たちの中を問答無用で突っ切りながら、ユーノは何処とも定められていない逃避場所へとただ只管にソレを目指して逃げ続けた。 「……すまない。騒がせてしまったようで」 「……い、いえ」 何事かと騒ぎを聞きつけて恐る恐るやってきた店員へと謝罪し、ユーノの分も含めた支払いを終えながら、クロノは重く深い溜め息を吐いていた。 ……情けない。なんという様だろうか。口でどれだけご立派な言葉を並び立てようが結果的には親友一人の心も結局は救ってやれてもいない。 己に対しての無力感に悔しさにも似た思いを抱きながら、これでは本当に彼女に顔向けすることも出来ないとクロノは思っていた。 管理外世界出身者であり、元の世界では公にこちらでの身分を公表できない高町なのはは、表向き事故死という形で片付けられた。 これは地球に限らずミッドチルダ側においても正式な形として公表された。 管理外世界での任務を遂行中に起こってしまった不慮の事故。 エースオブエースとまで呼ばれ若手筆頭とされていた管理局の看板魔導師が本当に事故死だったのか、何らかの隠蔽工作が裏であったのではないのか……そう疑う者たちも出てきたのは事実だったが、管理局側もまた頑としてこの公表を覆すことは無かった。 まさかその件の看板魔導師がその管理外世界の異能者と単独戦闘を行った上に殺された、などという事実だけは局側としても絶対に漏らすわけにはいかない事実だった。 いつだって社会も組織も建前と面子によって保たれるのは世の常でもある。無用な混乱や不名誉な風聞を発生させないために、次元世界の守護を自負する組織としても常にそれらの維持だけは最優先で保っていかねばならぬ都合がある。 故にこその事故死。……そう、彼女は不慮の事故で亡くなったのであり、その直前まであったとされる命令違反による行動や戦闘なども無かったこととされてしまった。 当然、それに対して彼女の行いを否定するような事だとしてクロノをはじめ反発の声を上げた者もまたいた。 しかし大局において優先すべきもの……そして彼女自身の名誉の為にもこの公表が一番誰も傷つかない事なのだという上からの決定は覆すことも出来なかった。 彼女は最後まで管理局の任務に従事し、戦い続けた。決して背信の意を唱えた反逆者ではない。 管理局側としての世間へのイメージとしてもその認識だけは是が非でも死守したかった。故に生前の直前までの命令違反に抵触する問題行動等も特別に不問とされる扱いとなった。 彼女の生のその意味を偽りで汚されたような気がして、どのような理由であれクロノとしてもそれは我慢のならない事だった。 ……それでも、それを知らない者。ヴィヴィオをはじめとした彼女の家族や仲間達が抱いていた彼女への想い。 それを考えれば強硬なやり方でそれらすらも傷つけかねないことをクロノ自身もまた躊躇われたのは事実だった。 「……君は、僕を恨んでいるか?」 ベルカ自治領にある教会が管理する墓地の一角、其処に新しく建てられた一つの墓標。 他ならぬ高町なのはの墓前にてクロノはそう尋ねていた。 此処に彼女は眠っていない。この墓の下にあるのは建前上作られただけの空っぽの棺桶。 故郷の海鳴にある彼女の家族……高町家にある墓もまたそれは同じだった。 「……君は今でも、あの大地で夢を見続けているのか?」 彼女の亡骸……それは彼女を最初に発見してくれたホーリー隊員が丁重に葬ってくれたのだという。 遺族や自分たちの感情を優先するならば、作ってもらった墓を掘り返してでもこちらに彼女を連れて帰りたかった。 少なくとも、その義務が自分にはあると思っていたし、彼女の家族の元へ彼女を還すのは自分がやらねばならない最低限の責務だとも思っていた。 しかし諸々の事情……上層部の不興を買った彼女の行いは、例え不問に付すと建前の上においては結論付けられようとも消えることはなかった。 実質的には反逆者であり、遺体の損傷も酷く、土葬されてから時間が経過しすぎていたという諸々の理由、事の真相をマスコミへと勘付かれる事を危惧した上層部の意見・決定によって彼女の亡骸は連れて還られもせずにあの大地へと置き去りにされた。 なのはの訃報を彼女の遺族へと伝えるのと同時に、その彼女を彼女の家族の下へと連れて還ることが出来なかったのは、クロノ・ハラオウンにとっては残りの人生をもってしても背負っていかねばならない業であり、責任でもあった。 「……だからこそ、殴られるくらいは覚悟していたっていうのに……」 君の家族は優しすぎる、そうクロノは悲しげな笑みと呟きを漏らす他になかった。 そう、なのはの葬儀……ミッドチルダで行われたものの方には自分とリンディが喪主を務めたそれだが、故郷である海鳴で行った際、それを務めたのは彼女の父親である高町士郎だった。 この十年で彼と同じように家庭を持ち、子供までいるクロノからしてみれば士郎の心中はそれこそ察して余るもの。高町一家の家族間の仲の良さすら知っていればそれも尚更だ。 だからこそクロノは海鳴での葬儀の際、参列したその時に彼らから罵倒はおろか殴られ追い返されることすら甘んじる覚悟を持っていた。 彼女が選んだ道であり選択であれ、彼女にその道を示し、預かったのは自分たちだ。その責任が当然あるのは理解しきっていたことでもある。 少なくとも、士郎たちには自分たちを恨むだけの資格と権利がある。これは理屈や正しさを云々としたものではない、人としての感情としてだ。 許されるなどとクロノもリンディも思っていなかった。そう思うことも間違いだと思っていた。 むしろ、恨み言を言ってくれることを……明確な責任をこちらへと自覚させてくれることを或いはクロノ自身も望んでいたのかもしれない。 けれど、その高町家……喪主を務めた彼女の父でもある士郎は決して恨み言の一つすらクロノたちには零そうともしなかった。 ただ彼は悲しそうに笑いながらその事実を告げただけ。 『……あぁ、やっぱり血は争えなかったということですかね。あいつもやはり俺の娘……最後まで頑固に、自分のやるべき事、やりたい事を貫いたんでしょうね』 その行動の成否や善悪はその真実を伏せられている士郎には分からなかっただろう。 だがそれでも父親として、娘が最期まで己を貫き通そうとした生き様を彼は察せていたのかもしれない。 『……最期まで、娘がお世話になり本当にありがとうございました』 そう告げて深々と頭を下げてきた士郎の姿を見たからこそ、クロノの罪悪感は益々深まるばかりでしかなかった。 居た堪れないその光景、むしろ土下座で詫びねばならなかったのはこちらだったというのに。 高町士郎は、そして彼の妻でありなのはの母でもある桃子は、クロノたちを決して恨もうとはしてこなかった。 ……その事実が、ただただクロノには辛かった。 「君に自覚があったかどうかは分からない。だが君が皆を愛していたように、皆もまた君を愛していたのは間違いない事実だ」 これだけは、この事実だけは彼女に伝えておきたいと、だからこそ一つの決意を持ってクロノ・ハラオウンは高町なのはが眠らぬその墓へと告げる。 この形だけとはいえ墓を通じてでも、あの大地に眠っている彼女へと己の想いを届かせる為に。 「君はよく頑張った。……上層部の評価やその事実はどうであれ、僕は最期まで君が君自身を貫き通したことに関しては、立派だったと思う」 元々、こちらの指示を違反するなど最初に会った時から何度もあって、その度に頭を痛ませられてきているのだ。今更それにどうこう言うつもりだってクロノにはない。 だからこそ、どんな形であれ、やり遂げたその生き様を彼は素直に讃えたかった。 そしてだからこそ――― 「……後は任せろ、などと言えた立場じゃないが……それでも、君が確かに愛し護ろうとしたものは、僕の方でも出来るだけ護ってみせる」 例えば、彼女の……いや、彼女や義妹たちの夢の集大成でもあった機動六課。 例えば、彼女もまた好きだったのであろう、ユーノ・スクライア。 例えば、彼女にとって最愛の娘であっただろうヴィヴィオ。 償いの対象たる高町家を含めても、これらは必ずに己の力で何としてでも護っていくことをクロノ・ハラオウンは確かに誓う。 だから、こっちは大丈夫だから…… 「君は、もう休んでいい。ゆっくりと安心して眠ってくれ」 これまで働きすぎだったのだから、と自分が言えた義理でもないかと苦笑を浮かべながらクロノは告げる。 だが間違いなく、これは真剣に違えられない確かな誓いでもあったのだ。 「それじゃあ、また来るよ。今度は他の皆も一緒に連れて」 最後に、彼女の墓前へと穏やかに告げながらクロノは踵を返して墓地を去る。 此処まで足を運んだ以上、騎士カリムに挨拶はしていっておくかと考えながら、真っ直ぐに振り返らずに黙々と進む。 『クロノ君―――頑張って』 不意に、そんなもう二度と聞けないはずの声が聞こえた気がして、クロノは弾かれたように反射的に振り向いていた。 だが当然、振り返ったところでそこに誰かがいるはずもない。あるのは最前からの変わらぬ自分が持ってきた花が添えられた高町なのはの墓のみ。 ならば幻聴、行き着く結論として、そしてリアリストを自負するクロノ自身にとってもまたそれは当たり前のことであるはずだった。 だがそうであるはずなのに……今回だけは、そんな自分がらしくもない解釈に行き着いたのは或いは感傷に流された故にか。 きっとあれは、彼女―――高町なのはからの応援……などと考えてしまったのは。 どちらにしろ、それでも良いとも思った。己のキャラでもないが、それでも今はそんな考え方もまた悪くは無い、と。 エイミィからも時折呆れたように言われてもいる。偶にくらい、ロマンチストになるのだって悪いことではないと。 今が丁度そんな時か、そう思わず微笑を零しながら、クロノは振り返った彼女の墓へと毅然としたいつもの……彼女たちが信頼を寄せてくれた兄貴分の態度でしっかりと告げた。 「―――ああ、任せてくれ」 それに応えてくれる様に、風が吹いた。 目を覆うような突風というわけでもない、どこか心地気で優しげすら感じる季節違いの春風を連想させる風だった。 これは彼女が応援してくれているのかもしれないな、そんな勝手な自己解釈をしながらクロノは再び歩き始めた。 やるべき事は多い。幾らでもある。そしてそれら全てが難しい。 だが例えそうだとしても、諦めない。 最期まで彼女がそう貫いたように、自分もまたそうして行こうとクロノは決意していた。 彼女のもういないこの世界で、せめて彼女の為に残された何かを成し遂げよう。 クロノ・ハラオウンもユーノ・スクライアもまた同じ。 生き方も、歩むべき道も、進み方も違う彼らではあるが、共通点は一つだけある。 それは――― 彼女のいないこの世界で、それでも自分たちは生き続けなければならないということ。 その結末の果てに、彼らに何が待っているのか彼ら自身にも分からない。 そして、それは彼らを見守っているであろう彼女もまた同じ。 生きている限り、生き続けている限り、それは終わらない戦いも同じ。 それでもまだ、彼らの新しい償いという戦いは続いていく。 これはただ、舞台が大きく動くこととなる前兆を前にあった、そんな彼らの物語、その幕間の一部に過ぎない。 次回予告 第九話 無常矜持 無法の中のルールは、混乱によって駆逐された。 それでも希望を持ち続ける者は…… 踏みにじられる事を望む草花なのか? カズマよ、劉鳳よ。 花は……君らを待っている。 目次へ=www38.atwiki.jp/nanohass/pages/3108.html 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『魔法少女リリカルなのは』シリーズ(まほうしょうじょりりかるなのはしりーず、英 Magical girl lyrical Nanoha series)は、2004年10月から2007年9月にかけて独立UHF系で全3シリーズが放送されたテレビアニメ作品、及びこれを中心としたドラマCD作品、漫画作品、ライトノベル作品である。『リリカルなのは』『リリなの』(極端な例では『なのは』)と略されることがある。広義の魔法少女ものであるが、従来的な作品とは大きく異なる作品である。 アイスペでの魔法少女リリカルなのは Sugar、ライル、蒼星龍など。
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キャラクター別SS追跡表 【Fate/Zero】 【コードギアス】 【東方儚月抄】 【HELLSING】 【スター・ウォーズ】 【ゾンビ屋れい子】 【戦国BASARA】 【うたわれるもの】 【おまもりひまり】 【ジョジョの奇妙な冒険】 【そらのおとしもの】 【まよチキ!】 【北斗の拳】 【魔法少女リリカルなのは】 【物語シリーズ】 【魔法少女リリカルなのは】 八神はやて/シグナム 主 従 № タイトル 作者 登場人物 ● ● 005 I Made It ◆HHH/WB.Ks2 シン、ハート様、八神はやて、シグナム ● ● 021 約束されし死亡の旗(シチョウセイガー) ◆YwLV7iJ2fw シン、ハート様、八神はやて、シグナム ● 033 Bout the city (前編)Bout the city (後編) ◆Su10.RK3MU セラス・ヴィクトリア、涼月奏、近衛スバル、衛宮切嗣、黎星刻、織田信長明智光秀、ハート様、シグナム、ハクオロ、トウカ、レミリア・スカーレット十六夜咲夜、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、ウォルター・C・ドルネーズ ▲上へ戻る
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Date:2006/01/30(Mon) Author:SS1-9 警報音がなりひびく。 次々と閉められていく隔壁。 その学園都市の協力研究機関には、シスターズのひとりがいた。 「これ以上は一人だって死んでやることはできない」 その思いをむねに、ミサカ=シスターズはこの研究所からの脱出を試みる。 敵対組織の襲撃により研究所内を徘徊する異形のモンスター。 行く手をはばむ、数々の仕掛け。 様々な謎。そして陰謀。 それらすべてを乗り越えた先にあるものは・・・。 『とあるミサカのレディオノイズ————第一回————』 いま、ミサカの覚悟がためされる
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魔法少女リリカルなのはのレビューページ ハーメルンを語るスレ、ハーメルン作品について語るスレでレビューされたものをまとめています。 レビューされた作品数が増えたため表示切替を導入しました。 レビューを閲覧する際は「レビューを表示する」をクリックしてください。 すでにレビューがある作品にレビューを追加する場合は追加用テンプレートを使い書かれているレビューの下に追加して下さい 良い評価のレビューだけでなく、色々なレビューをまとめています。ここにタイトルがある=良作ではないので注意。 テンプレート 【作品名】 【作者名】 【原作名】 【警告点】 【評価日】 【話数・文字数】話数:◯話/合計:△文字 【批評】 追加用テンプレート 【評価日】 【話数・文字数】話数:◯話/合計:△文字 【批評】 [部分編集] 幻想幼女リリカルキャロPhantasm レビューを表示する 【作品名】幻想幼女リリカルキャロPhantasm 【作者名】もにょ 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】R-15 オリ主 【評価日】2012/08/15(水) 【話数・文字数】話数:19話/合計:68839文字 【批評】にじファンからの移転組現在は19話ほど投下されているがにじファンでは80話くらい投下されていたはず 原作キャラであるキャロへの憑依ネタだが、純粋な憑依モノではなく東方Projectとクロスしている 内容はいわゆるオリ主TUEEEEE系 具体的には東方キャラの能力を再現できるデバイスでMUSOUする毒にも薬にもならない話 魔法少女リリカルなのは~雁字搦めの執務官~ レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは~雁字搦めの執務官~ 【作者名】紅月玖日 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 【評価日】2012/08/15(水) 【話数・文字数】話数:9話/合計:36222文字 【批評】非転生オリ主モノ ツッコミは少なめで済むなと思ったら最新話でオリ武術が出てきてああうんって感じに 内容は原作キャラよりやや劣る魔導師ランクAA-な執務官がトリッキーにがんばるという話だと思う A sのなのは撃墜アースラ収容後から開始してすぐにヴィータ無力化とかしている ただし特に原作の流れへの影響は無さげで俺TUEEEEEが見せたかっただけに見える 努力とアイデアと根性で泥臭くというがどうせ面白トリックプレイに走るだけだろう タグが簡潔なのは非常に好感が持てる レアスキル持ちのなのはさん レビューを表示する 【作品名】レアスキル持ちのなのはさん 【作者名】子義 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】 【評価日】2012/08/15(水) 【話数・文字数】話数:4話/合計:17180文字 【批評】再構成モノ ユーノに合う前にジュエルシードを拾ったなのはさんが断片的な未来視のようなレアスキルに目覚める話? レアスキルが未来視なのかデバイス無しでの魔法運用なのかちょっと分からない まだ4話しかない上ほとんど話が進んでいないので内容については言及し難い ただ八神家に突撃して猫に目をつけられたというのは誰でも想像できるのであとがきで明言するのはやめてもらいたかった コレもタグが簡潔で良い マイナー能力者が往く異世界記 レビューを表示する 【作品名】マイナー能力者が往く異世界記 【作者名】じろー 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】R-15 オリ主 神様転生 残酷な描写 【評価日】2012/07/30(月) 【話数・文字数】話数:43話/平均:7829文字/合計:336647文字 【批評】 これも関わりたくない詐欺。周りと会話を拒否してるんだけど ヒロイン達が戦ってたり、危険になると出て行くって感じのやれやれ介入。 マイナー能力とあるけど、普通に便利な能力使い放題みたいな感じ。 ロリの純真無垢な愛情とかそういうの好きならいいと思う。神様転生。 転生者の魔都『海鳴市』 レビューを表示する 【作品名】転生者の魔都『海鳴市』 【作者名】咲夜泪 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】R-15 オリ主 残酷な描写 【評価日】2012/08/23(木) 【話数・文字数】6話/1話平均:13,734文字/合計:82,406文字 【批評】 転生者多数って時点で回避余裕だったけど、話題に出てたんで読んでみた。 主人公はなのはと同世代に生まれた、「原作に関わりたくない。」と言っている没個性主人公 ただし、背景世界観が「複数の世代に跨って多数の転生者が存在しまた別世界の能力を保持したまま2回目3回目を経験している転生者も存在する」為 原作の舞台裏で暗闘が繰り返され、既に原作雰囲気なんてカケラもない蟲毒の坩堝と化している点が面白い また、冒頭で主人公の事を没個性と説明したが良い意味で云えば、表面上はスレているが性根は真っ直ぐで好感が持てるタイプであり その主人公が物語に巻き込まれ、徐々に真相に迫っていくという王道が展開されている。 カバーストーリーも臨場感を持たせつつ丁寧に描写されているので判りやすい点も好評価総括すれば続きが気になる作品であり、是非完結して欲しいと思った。 ※あえて言うとするなら、原作崩壊タグ付けて欲しいくらいか。 魔法少女リリカルなのは~Valkyrias Another Story~ レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは~Valkyrias Another Story~ 【作者名】安藤祐介 【原作名】魔法少女リリカルなのはStrikers 【警告点】R-15 オリ主 残酷な描写 【評価日】2012/08/23(木) 【話数・文字数】話数2話/合計文字数16,818文字/一話あたりの文字数8,409文字 【批評】 タグでは割と適当、あらすじでは「嫌な方はback。」などと小気味のいいジャブを開幕に放つスピーディーな期待の新人 現在は二話構成のプロローグが投稿されたばかりなので話はほとんど進んでないので留意されたし リリカルなのはが存在し、英雄伝として語り継がれる未来からタイムスリップした男二人が経営する喫茶店が物語の中心になるという面倒な舞台設定 男二人とその妹が経営する喫茶店ストレイキャットにかの英雄高町なのはがアルバイトとして雇われることになる……でプロローグが終わっている しかしなのはがどうにもなのはっぽくない(面倒くさがりな性格)など微妙な点があるが疑問点をしっかり残すという意味でプロローグとしては上手に書かれている 文章は未来人(?)のノルトリ・ストレイキャットの一人称で時々三人称っぽいなど怪しいところもあるがSide使いじゃないだけ上々 ただ素人一人称の宿命だろうか徐々にノルトリのノリが典型的なオリ主のようにはっちゃけつつあるのがはなはだ雲行きを不安にさせる それでもロリ神様と邂逅した末にテンションハイになってペロペロしたり土下座させたりぶん殴ったりするオリ主よりは格段にダメージのないなどスコップも安心設計 まだプロローグしかないというのはポジティブシンキングすれば要はまだまだ先が期待できるということである なのは物は不作だ不毛地帯だと嘆かれるスコッパー諸兄は是非とも一読して期待に胸膨らませながらそのまま胸を破裂させるといいのではないだろうか 個人的に現時点では面倒くさがりのなのはがウザカワイイ以外に読むべき点はないと思われる 魔法少女リリカルなのは 炎の紋章を持つもの レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは 炎の紋章を持つもの 【作者名】コウチャカ・デン 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 【評価日】2012/08/23(木) 【話数・文字数】話数:11話/合計文字数:57,264文字/1話あたりの文字数:5,206文字 【批評】 FEが分からないと置いてけぼりにされる 文は三人称でまともだと思う スコップは折れなかった 話の中身は微妙、ありきたりで特に面白みを感じなかった 魔法少女リリカルなのは ――復讐の刃―― レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは ――復讐の刃―― 【作者名】FAIR 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 神様転生 残酷な描写 【評価日】2012/08/24(金) 【話数・文字数】話数:11話/1話平均:7,594文字/合計:83,534文字 【批評】 兄が死んだ。 この世界に存在しない超常の力を操り、戦い、そして同じ力を持つ者に殺された。 目の前で兄を殺された少女は、過去の後悔を胸に平穏を生きていく。しかし小学三年生となったある日、少女は再び平穏の世界から脱することになる。 あらすじやタイトルにもあるように本作の主題は兄を殺した少女二人を探すオリ主の復讐にあると思われる 謎の少女二人に殺される兄なのだが兄が「『同類』」と口にしたり所々で転生者らしき節があるのでまた転生かと嫌になる読者もあるかもしれない ついでに本編で謎の少女二人組の一人は主人公に対し「神」や「……お前、本当に私たちの同類じゃないの?」などの言葉を口にし倍率ドンさらに倍である しかし謎の少女二人組の一人アズゥはどこか頭イっちゃてるキャラなので統失などによる妄言の可能性がなきにしも非ず (というかタグに神様転生があるので最早確定的である) アズゥと対決した主人公はアズゥ達が兄を殺した二人組である確証を得て復讐への気概を新たにする心境は十歳の思考にしては実にオサレである 物語は主人公倉沢結衣を中心にした三人称で描写は上手な部類に入るのでオリ主物が苦手でなければ一読してもまずスコップは砕かれないであろう ただ主人公はなのはとクラスメイトという設定なので物語は実に原作沿い()に進んでいる 兄を殺されたことによりスレた性格となり一人を好む主人公になのはが(案の定鬱陶しく)心配した為に関係が生まれるなどもテンプレではなかろうか 原作沿い()ではあるものの先述のアズゥとの対決など原作とは別の戦闘シーンは中々濃密に描かれておりシリアス重視というのも頷けるが 復讐劇が物語の主題になるなら別にリリカルなのはじゃなくてもいいんじゃねぇのって気分になるかもしれないので留意されたし 復讐の相手であるアズゥともう一人の銀髪の少女(転生者?)、さらに主人公もオリキャラであることも拍車になるのは避けられない 復讐しようとする主人公に対しなのはがそれは駄目だと格闘言語による熱い説得をするなどの熱いシーンが今後あればいいのだが果たして…… 本作はオリ主がオリ敵相手に原作そっちのけでオリジナルストーリーを展開する古き良きオリ主作品である それでも描写が丁寧なので地雷作ではないしタグのように主人公が成長するなど物語としての王道を進むのならば人気作になるかもしれない ただ現状では原作のなのはパーティに一人ヒネくれた性格のオリ主が加わっただけの原作沿いに過ぎないので苦手な人はとことん苦手であろう それでも神様転生チーレムのリリカル紛争地帯に困窮する読者諸兄には一読の価値があるだろう 魔法少女リリカルなのは 氷結の騎士 レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは 氷結の騎士 【作者名】note 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 残酷な描写 【識別子】魔法少女リリカルなのは オリキャラ 異世界トリップ 習作 批評募集 批判募集 処女作 【評価日】 【話数・文字数】話数:6話/1話平均:4,405文字/合計:26,428文字 【批評】 2012/08/24(金) 元軍人夜城悠。 自宅で本を読んでいた彼はリリカルなのはの世界に飛ばされる。 元軍人という設定、夜城悠という微妙に香ばしい名前、異世界トリップなど読者に鋭い先制ジャブを喰らわす期待作 ついでにリリカルなのはの世界にトリップしたときになのはと同年代の体に変異してしまうなどなどの終始御都合展開で話が進む傾向にある 現時点ではオリ主という異物がありながらそれほど原作から乖離しない典型的原作沿い作品であろう あまり原作(未来)を変えるべきではないというスタンスなのにフェイト、アルフの二人と協力関係になるなどいまいちはっきりしない さらに最新話では初対面のはやてに対し「異世界」出身、現在「傭兵」であることを平然と明かすなど本当に分からない しかも衣食住に困窮したが為にフェイトアルフの「傭兵」となった主人公に対して 突如はやてが「そんなら私が君の世話を見てあげるわ!」となる驚異的にして斬新な御都合展開にはさすがの私も茫然自失となった アニメの世界であると認識しながら初対面のフェイトをフェイトであると認識するなどそこかしこに地雷要素が埋まっている また元の世界に帰りたいだの原作をどうしたいだのの明確な目標も主人公には現状では一切ない為 物語の着地地点がどうしたいのかさっぱり分からないなど物語としての盛り上がりなどに欠ける ただ文章自体は癖のない三人称でSide使いでもない為スコップが砕かれるような破壊力はないことは評価に値する それでも文章作法に時折ミスがある、描写表現に尖ったところがなく不可もなければ可もない平凡の域を出れていない 改行スペースも多い傾向があり、それが嫌な人には読まれずにブラウザバックされてしまうかもしれない 現状では見所の少ない典型的な空気オリ主物で原作沿いである以上それほど特筆すべき点もないのが残念 元軍人という設定もほとんど生かされておらずオリ主物の典型的な死に設定であることもマイナス 余談だが主人公のセリフに「元の世界では軍人をやっていた。今はこんな体になってはいるが中身は21歳だ」とあるが 日本人ならば自衛隊は軍人ではないではないし国外の軍人ならば若干二十一歳でもなれるものなのか私にはふと疑問だった テンプレチートオリ主のテンプレな物語 レビューを表示する 【作品名】テンプレチートオリ主のテンプレな物語 【作者名】masakage 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 神様転生 【識別子】ギャグ 転生者複数 テンプレ 【評価日】2012/08/25(土) 【話数・文字数】話数:17話/1話平均:2,356文字/合計:40,058文字 【批評】 オリ主がテンプレ展開でハーレムと作者自身があらすじで紹介している。が、そこまでたどり着けなかった。 転生死因こそ何とか耐えたが、神からタグにはないスタンド使いの能力を貰う。しかも全てのスタンドを。 この一話ですでにスコップは木っ端微塵の状態だが、なんとか二話に進んでみる。 キングクリムゾン!…私はその言葉を目にした後、続きを読むことができずにブラウザを閉じた。 テンプレではなく地雷を詰め込んだギャグの域なんだろうか。 10点をつけたりお気に入りにしている人はヲチャーなのだろうか。 二話以降を読む人はどんなスコップを持っているのか作品なんかよりもよっぽど気になる結果になった。 魔法少女リリカルなのは~猫又ニート無双伝説~ レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは~猫又ニート無双伝説~ 【作者名】ゴマ増 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】R-15 オリ主 【識別子】魔法少女リリカルなのは ニート チート いわし 【評価日】2012/08/26(日) 【話数・文字数】話数:9話/1話平均:4,848文字/合計:43,628文字 【批評】 トラックからの神様転生もの 転生する時にサイコロを使い、何故か猫又に プロローグでの神様との漫才とか作中にある大量の中黒の嵐に読者は目も心も疲れる おkや///、wwwなどの表現が沢山溢れかえっており、地の文はアホのように少ない 戦闘は基本ドッカーンのドドドドドドーン、コレに尽きる 六課のメンバーもスカさんとはポッキーを食べれば友達さ! らしい 【評価日】2012/08/26(日) 【話数・文字数】話数:9話/1話平均:4,848文字/合計:43,628文字 【批評】 転生チートのテンプレ作品 前世の死の間際にどうでもいいわー眠いとか神様とのしょうもない漫才から特典でチートもらう 転生はいきなりstsの四人衆初出動の場面の空にでてしょっぱなからずっとチートで無双するお話 よくありがちな六課全員対オリ主をやって一瞬で倒すという芸も踏襲している その癖めんどくさいわー働きたくないわーと言って原作キャラのお人好しにつけこんでニートしようとするオリ主はクズ人間 前世は社会人だったのにお子様思考すぎるだろ 文章はオリ主はおろか原作キャラにすら草を生やすわ2ch言葉使わすわでお粗末な会話でしかも会話文が多く地の文が少ないのでストレスがマッハ 物事の描写もあっさりという前に全然足りてないし擬音多用 展開も脈絡なく行き当たりばったりでオリ主以外のリアクションもオリ主に都合が良すぎて異常どころかもはや滑稽 とにかく読んでてイライラする小説 最後まで読むのは苦行だがこの小説を読めた人ならほとんどの小説を読めるはず 【ネタ】逆行なのはさんの奮闘記 レビューを表示する 【作品名】【ネタ】逆行なのはさんの奮闘記 【作者名】銀まーくⅢ 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】R-15 残酷な描写 【識別子】逆行 キャラ崩壊 【評価日】2012/08/26(日) 【話数・文字数】話数:6話/1話平均:8,539文字/合計:51,232文字 【批評】 28歳になり、友人知人が結婚していく中彼氏のかの字もないなのはさん 10代後半の娘がいるシングルマザーの需要はかなり厳しいのだ 結婚はともかく恋すらまともにしてない灰色の人生を歩んでいたがついに同僚から結婚を前提に交際の申し出を受ける 喜びにあふれヒャッハーしながら帰宅するなのはさん しかし自宅には元気がないフェイトそんがいる、そして… フェイトそんにNice boatされたなのはさんは気がつけば9歳まで逆行したのだった 魔法少女リリカルなのは ~自称は平凡、な転生者~ レビューを表示する 【作品名】魔法少女リリカルなのは ~自称は平凡、な転生者~ 【作者名】夜神 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】オリ主 神様転生 【識別子】転生 ソードアート・オンライン 【評価日】2012/08/27(月) 【話数・文字数】話数:7話/1話平均:4,676文字/合計:32,735文字 【批評】 目が覚めたら白い世界、神様出現、ミスで死亡、願いを3つ、落下、意図していない願いの追加 更に転生と言う癖に子供になっただけと言う見事なまでのテンプレ神転 示された住居に行ったら「おかえり、お兄ちゃん」と出迎えられるが主人公はそいつに見覚えなし 混乱している所を部屋に案内されて説明をしてもらったところ神転二人目、従兄妹らしい デバイスを渡されるが主人公はリリカルを知らないので更に説明を受けてデバイスの使い方などを学ぶ 知らないならそのまま普通に生活させりゃいいのにと思うのはきっと俺だけではない筈 時は数年流れたがその間の描写まるでなし 3年生になって従兄妹と同じクラスだが、苗字同じで同居してる家族は分けるだろ普通 そして当然の如く原作キャラとも同じで、更に転生者と思わしき銀髪のイケメン少年が存在 ああ、はいはいテンプレテンプレ アリサが成績の事で絡んでくるのもまたテンプレ それをきっかけに銀髪君がにらんでくるのもテンプレ 最新話で原作開始したが遠巻きに様子見するだけで終了 主人公の一人称視点でよくあるお手本どおりに並べておけばいいよね? みたいな作品 今のところ見所は全くなくこの先も期待できないが3点リーダなどの使い方自体はまとも スコップ取り扱い入門には使えるかもしれない ヴィヴィオのおともだち レビューを表示する 【作品名】ヴィヴィオのおともだち 【作者名】OS 【原作名】魔法少女リリカルなのは 【警告点】 【評価日】2012/08/29(水) 【話数・文字数】1話/1話平均:18,047文字/合計:18,047文字/短編 【批評】 古代ベルカ時代の本に封印されていた人物が現代の聖王であるヴィヴィオと出会い 共に日々を過ごしていく中で絆を育むストーリー 文章レベルは(いい意味で)言うまでもない 展開は起承転結がはっきりしていて読みやすい 途中までギャグやほのぼのとした雰囲気で進むが 絵本チックな語りからオリキャラの秘密が語られ物語は急展開する 節々に伏線が仕込まれていて回収の仕方がわかりやすくうまかった 少し強引に感じるところもあるが上手にまとめてあり読後はいい気分で終われた 尻が裂けたヴェロッサの話はよ
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298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 13 51 34.15 ID pdQwQo8E0 リリカルなのは 魔法少女は誰かを争う。 魔法の呪文はリリカルマジカルルルルルみたいなやつ。 最終話で、本当の魔法少女なのはテレビの前の君かもしれないという テーマを残して終わる。 819 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/05/01(木) 02 08 38.78 ID +DrM2KFd0 魔法少女・りりかるなのは なのはは魔女になるべく近隣の魔法学園に通う そこで繰り広げられるどたばた学園ほんわかコメディ 827 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 08 26 48.07 ID weD9CH8N0 819 「なるべく近隣の魔法学園に通う」だけ見て そんなに登下校が面倒なのかと思ったぜ 882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 10 55 13.73 ID DUwMC40Y0 魔法少女リリカルなのは 魔法少女リリカルなのはA・s ショタ化したアンドリューと国木田がアッー
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SS自作スレまとめ Weed 【本文】 『第一部 姫神秋沙』(未編集) 『第二部 五和』(未編集) 『第三部 御坂美琴』(未編集) 『第四部 ミサカ10032号』(未編集) 『第五部 白井黒子』(未編集) 『第六部 風斬氷華』(未編集) 『第七部 月詠小萌』(未編集) 『第八部 バードウェイ』(未編集) 『第九部 神裂火織』(未編集) 『第十部 インデックス』(未編集) 【執筆状況】 2008/10/16 禁書SS自作スレ に第一部が投稿される 2008/11/10 「禁書目録編」を以て完結 【著者】 3-802 (トリップ:なし) 【あらすじ】 今日も平和なとある高校。 やっぱり騒動の中心にいる上条当麻に、クラスメイトの一人がこう声をかける。 「君って雑草みたい」 それを皮切りに、会う人皆から「雑草」と呼ばれ、ちょっと凹んでしまう上条だったが…。 【解説】 「Weed」即ち「雑草」をテーマにした短編連作。 上条君が各ヒロイン達に雑草扱いされ続ける。 意外と的確な表現ですよね、雑草って。 余談ではあるが、weedという言葉は「マリファナ」という意味も持っているため、海外で扱う際には注意が必要。
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――夢を見ていた。 夢の中で、〝彼女〟は傷ついた宝石の身体を仄暗い水の底に横たえ、まどろみの中を揺蕩いながら傷を癒していた。 ガラスの壁の向こうで、「主」が険しい顔で〝彼女〟を見下ろしている。 咄嗟に口を開こうとした〝彼女〟は、しかし自分が何を言いたいのかが解らないことに気付いた。 AIへの過負荷が余程激しかったのか、思考の言語化機能にバグが生じている。 それでも何かを口にしようとしたが、肝心の声が出て来ないことに愕然とした。 尋常でないダメージだった、一体どれだけ乱暴な運用をされればこれ程の傷を負うのか思いつきもしない。 一体何があったのか、なぜ自分は今ここにいるのか、それさえも〝彼女〟は思い出せなかった……損傷が記憶野にまで及んでいるのかもしれない。 中枢システムのシャットダウンし、再び闇の中に堕ちていく〝彼女〟の意識の最後の一欠片が、小さくなっていく「主」の背中を認識した。 置いて往かないで……遠ざかる影に必死に呼びかける〝彼女〟の声無き叫びが、「主」に届くことは無かった。 ――そして、闇が全てを塗り潰す。 闇よりもなお黒々とした影が、夜天を蠢き這い回る。 その数、まさに無量大数。 双子月の表面にはまるで人の顔のような不気味な陰が浮き上がり、その「口」から掌に顔を張りつけた手首が、踵や足の裏に顔を埋め込んだ足首が、際限なく吐き出される。 敵は多元進化確率生命体反螺旋艦載機、パダ級とハスタグライ級――かつて大グレン団の漢達を苦しめた、アンチスパイラルの無人兵器。 ガンメンサイズに縮小されたその怨敵が今、時を越え次元を超えて再び地球人類の前に姿を現したのだ。 人類殲滅システム――かつて銀河を制圧したアンチスパイラルが、螺旋生命体を根絶やしにするべく星々に配備した破滅の玉手箱。 ミッドチルダ滅亡により日の目を見ることなく眠り続け、この無人の惑星ごと忘れ去られていた負の遺産。 それが超銀河ダイグレンという螺旋力の塊の出現により、永い眠りから解き放たれた。 探索艇の地上降下直後を狙った敵の襲撃にグラパール隊の指揮系統は混乱、無限とも言える敵の物量もあり危機的状況に陥っていた。 減らない敵、散っていく僚機……新兵達は未知の強敵に恐怖し、十年前の最終決戦を生き抜いた歴戦の豪傑達は記憶の奥に刻まれたトラウマに苦しめられる。 探索艇との通信は途絶え、ヴィラル達の護衛として地上に降りたグレンラガンとも連絡が取れない。 アークグレンラガン級スペースガンメンも積んでいない、また新規に造るような時間も無い。 まるで出口の無い迷宮に迷い込んだかのような救いの無い絶対的絶望が、伝染病のように刃金の軍勢を侵し蝕んでいく。 だが……恐怖に屈しない強く真っ直ぐな心を持った者も、胸に一本芯を通した者も、確かに存在した。 『あぁーっ、もう! うじゃうじゃゾロゾロとひっきりなしに……こいつら台所裏の黒いゴキかい!?』 通信ウィンドウの向こうで憤慨する少女、超銀河ダイグレンの管制として今回の旅について来た幼馴染のふくれっ面に、少年は不謹慎とは解っていながらも苦笑を隠せなかった。 『む……ナキム、今ウチのこと笑ったやろ? 馬鹿な奴やなー思いながら嘲笑に嗤ったやろ?』 「いや、マオシャ……「嘲笑」と「嗤う」は意味が重複してると思うんだけど?」 『重箱の隅つつく前にまず謝罪か否定しろや、この馬鹿ナキム!!』 スピーカーを壊さんばかりの勢いでがなり立てる幼馴染に、ナキムと呼ばれた少年は思わず両手で耳を押さえる。 その時、動きを止めた少年の機体――超電導ライフルを背負ったグラパールに、敵の群れが殺到した。 ハスタグライ級の五本指から放たれる光線が、パダ級の踵の発射口から吐き出されるミサイルが、グラパールに迫る。 『ナキム!?』 「大丈夫」 青ざめた顔で悲鳴を上げるマオシャに穏やかに笑い返し、ナキムは全方位から迫り来る敵の攻撃を真っ直ぐに見据えた。 授業のおさらいをしようか……左右の操縦桿を握り直すナキムの、まだ幼さの残る横顔には、相変わらず笑みが浮かんでいる。 だがその笑顔は幼馴染に向けたそれとは全く真逆の、獣のように獰猛で、刃物のように鋭く研ぎ澄まされた戦士の顔だった。 バックパックに背負った超伝導ライフルを引き抜き、少年のグラパールが宇宙を翔ける。 「一つ、大勢で人を虐めない」 雨のように降り注ぐ光線とミサイルの隙間を掻い潜り、すれ違いざまに螺旋弾を敵の鼻面に零距離から撃ち込む。 「二つ、人に銃を向けない」 スラスターを全開に噴かして敵に肉薄、逆手に翻した超伝導ライフルの銃床を槍のように敵の装甲に突き立てる。 「三つ、友達は大切に。無暗やたらと喧嘩しない」 超電導ライフルを再び正面に構え直し、ナキムはスコープを覗き込んだ。 二時の方向に孤立した味方がいる……ナキムは小さく息を吸い込み、吐息と共にトリガーを連続で引く。 金属の軋み擦れる音がコクピットに響き渡る、その数……三回。 超電導ライフルの銃口が三度光を放ち、撃ち出された螺旋弾が味方を襲う敵機の背中に吸い込まれ……そして撃ち抜いた。 「――ただし、」 射撃モードを「自動掃射」に切り替え、グラパールは超電導ライフルの弾倉を交換した。 身の丈を超える長銃を全身で支え、自動照準は解除……目視で十分、味方に当たりさえしなければそれで良し。 「一度決めたからには徹底的に、己の意地を貫き通す!」 怒号と共にナキムはトリガーを引き絞り――瞬間、身を揺るがす程の激しい震動と衝撃がグラパールを襲った。 フルオートで怒涛の如く吐き出される無数の螺旋弾が次々と敵を打ち砕き、喰い破り、容赦なく蹂躙する。 グラパールの腕の中で獣のように暴れ回る超伝導ライフルを、ナキムは必死に抑え込んでいた。 再装填した螺旋弾を全弾撃ち尽くすまで僅か数秒、しかし少年にとっては無限に等しい時間だった。 「――復習、終わり」 全弾撃ち尽くし、沈黙する超伝導ライフルをだらりと下ろし、ナキムは荒い息を吐きながらひとりごちた。 モニタースクリーンを見渡してみれば、一面に広がる星の海……だが、どれが地球であるのかは分からない。 随分と遠くまで来てしまった……モニタースクリーンから視線を落とし、ナキムは淋しそうに小さく笑った。 「今度のテストは満点確実かな……ヨマコ先生」 この満天の光のどれかにある故郷、そこで今も教鞭を執る恩師に、ナキムは独り思いを馳せる。 少年の呟きは、天に満ちる無限の光の中に溶けて消えた。 「はぁ!? またブラスタービット壊したんか?」 素頓狂な声を上げて背後を振り返る栗色の髪の女性に、車椅子を押す少女がばつの悪そうな顔で視線を逸らした。 「うん、今度は本体ごと……こう、中から何か生まれるみたいな勢いで、バキって――」 後半は開き直ったように身振りを交えながら状況を説明する少女に、車椅子の女性――八神はやては呆れたように嘆息を漏らす。 「……毎回術者より先にデバイスが音を上げるやなんて、一体どんだけ馬鹿魔力してんねん」 「やー、それ程でも……」 「褒めてへん、褒めてへん」 そんな馬鹿なやりとりを続けながら、少女ははやての車椅子を押して、管理局本局の広々とした廊下をゆっくりと進んでいく。 穏やかな時間だった。 ここ十数ヶ月は味わった記憶のない――そして最近はその感覚すらも忘れかけていた――のどかで平和な時間だった。 少女のデバイスは現在メンテナンスルームで修理中、ガンメンも格納庫で解体整備中である。 愛機を駆り敵陣に斬り込むか、愛杖を片手に砲撃を連発するしか能のないと豪語する少女は、その両方を取り上げられた今、久々に与えられた休暇を持て余していた。 自慢出来るようなことではないが、これまでの短い人生の大半を戦いに傾けていた少女は、一般的な余暇の過ごし方――正しい暇の潰し方というものを全く知らない。 途方に暮れる少女を見かねたはやては、自身の息抜きも兼ねて彼女を散歩に連れ出した。 そして、今に至る。 「グリフィスくんな、今度XV級新造艦の艦長やることになったんや。 名前はアースラⅡ、伝説の不沈艦アースラに肖って名付けたんやて。何や照れるわぁ。 エリオ達ライトニング隊も、クラウディアからそっちに移ることになっとる」 「へぇ」 「今年の公開陳述会、質量兵器の一部解禁とB級以上の管理外世界の管理世界への昇格が焦点になりそうや。 前者はガンメン、ちゅー限りなくグレーゾーンな兵器を主力にしてる時点で今更な気もするけどな。 当日の会場や街の警備はスターズ隊に頼もうか思うてる。ラゼンガンにも出張って貰うことになるかも知れへん」 「考えとく」 「来月頭には第97管理外世界のお偉いさん方との秘密会談、こっちの全権はクロノくんで、ウチも参加することになっとる。 議題は螺旋力関連の技術提供と地球の管理世界昇格、それを見返りに連合軍への参加と次元星戦参戦の要請。 こっちの都合で地球を巻き込むのはちと辛いけど、割り切らなあかんよね。地球出身者として、今回の悪巧みは絶対に成功させるで」 「頑張って」 一方的に喋るはやてに生返事を返しながら、少女は数ヶ月前の病室での会話を思い返していた。 XV級次元戦艦アースラの撃墜から数ヶ月が経過した。 重傷を負ったアースラクルーの殆どが職場復帰を果たし、新たな配属先で日々奮闘しているらしい。 しかし中には、その時に負った傷が元で退役や内勤への転属を余儀なくされたものも少なからず存在した。 目の前の女性――元アースラ艦長、八神はやてもその一人である。 アースラ最期の闘いとなったあの日、不沈艦が沈む最後のあの時、はやては敵の攻撃を生身で受け止め、クルーが脱出する時間を稼いだ。 艦全体を覆う巨大な防御陣を展開し、全方位から降り注ぐ敵の猛攻を耐え抜いた。 しかしその無茶によりはやての守護騎士の一人、融合騎リインフォースⅡは消滅、はやて自身も二度と空を飛べない身体になった。 わがままを押し通し、余りにも重い代償を背負わされる……世の中とは本当に、〝こんな筈じゃなかった〟現実に満ち溢れている。 退院後、管理局に復帰したはやては現場を引退、内勤職員として現場の仲間達をサポートする道を選んだ。 それが彼女にとって幸せであるか否かは少女には解らない、しかし過酷な運命に屈することなく今の己の持つ全力全開で戦い続ける道を選んだはやてを、少女は尊敬している。 だがら自分ははやての代わりに、はやてから翼と大切な家族を奪った奴等を徹底的に殺し尽くす……左右で色の違う少女の瞳の奥で、暗い炎が燃えていた。 エンキの光線が虚空を斬り裂き、グレンラガンのドリルが蒼穹を貫く。 その度に破壊された敵が爆破四散し、紅蓮の炎が空を鮮やかに染め上げた。 しかし空を覆う敵の軍勢は、一向に数を減らす様子を見せない。 「くっ、次から次へと……こうも数が多いと流石に面倒だな」 (回答。ガジェット・ドローンは〝ゆりかご〟内部の製造プラントで随時製造・補充される仕組み) 疲れの滲んだ声で呟くヴィラルの〝中〟で、ユニゾンしたリインフォースⅢが口を開く。 「聖王のゆりかご……あの顔無しのデカブツか」 リインフォースⅢの応答に、ヴィラルはクラナガン跡の中央に横たわる黄金色の巨大な方舟――次元戦艦〝聖王のゆりかご〟を見下ろした。 どこにも顔の見当たらない奇妙な艦から次々と吐き出される、楕円や球体をモチーフとした艦載兵器、ガジェット・ドローン。 火力自体は大した脅威ではないが、スピンバリアー弾を無効化するバリアは並大抵の攻撃では刀の切っ先もドリルの先端すらも通らぬ鉄壁。 必殺技の連発にエンキとグレンラガンは疲弊し、劣勢とまではいかないが厳しい戦いを強いられていた。 ミッドチルダの衛星軌道上に超転移した超銀河ダイグレンを待っていたものは、地球によく似た美しい惑星と、天上を廻る二つの月。 そして螺旋反応を察知し偽装解除した人類殲滅システムと、テリトリーへの侵入者を認め再起動した〝ゆりかご〟の自動迎撃システムによる二重の歓迎だった。 〝ゆりかご〟の苛烈な対空砲撃によりヴィラル達の降下に誤差が生じ、グレンラガンとは合流出来たが探索艇の消息は未だ不明。 敵襲を警戒し、ガンメンを出撃させた状態で大気圏突入したのが逆に仇となったのだ。 ミッドチルダ螺旋族とアンチスパイラル、敵対していた二つの勢力の遺した置き土産が、今はまるで共闘するかのように宇宙から地上から調査隊を追い詰める。 グラパール隊が軌道上でアンチスパイラルの残党を相手に奮戦するその頃、地上に降りたヴィラル達もまた孤独な戦いを続けていた。 「あのデカブツを何とかするのが先決か……グレンラガン、あのデカブツと合体して艦体の制御を掌握しろ。アレが止まればガジェットも止まる」 『了解』 ヴィラルの指示に通信ウィンドウに映る赤い髪の青年――ギミーが首肯し、グレンラガンが右腕のギガドリルを構える。 だが、その時、 『光速螺旋転移反応を感知! 二人とも気をつけて、何かがここに超転移して来る。大きさは……ダイグレン級!!』 薄桃色の髪の女性、ダリーの警告に、ヴィラルとギミーの顔に緊張が走った。 次の瞬間、ガラスが割れるような音と共に空間が歪み、まるで山岳のように巨大な影が姿を現す。 『うそ、だろ……?』 『あれは、まさか……!』 ギミーとダリーの愕然とした声が、通信機から流れ出る。 二人の動揺は当然のものだろう……かく言うヴィラル自身も、あまりの衝撃に声すらも出ない有様なのだから。 髑髏を思わせる不気味な顔、まるでハンマーのような左腕、そして大地を穿ちその巨体を支えるドリル状の両脚。 それはまるで――否、大きさこそ〝あれ〟に比べて遥かに小さいものの、その姿はまさに、 「テッペリン、だと……!?」 ヴィラル達獣人のかつての根城にして生まれ故郷、螺旋王ロージェノムの居城。 人間達はデカブツと呼び、獣人達は王都と讃えるアークグレンラガン級超巨大ガンメン、テッペリンそのものだった。 (警告。あれは墓守、〝ゆりかご〟を守護する独立支援ユニット) 「あれもあの顔無しの防御システムだと言うのか」 リインフォースⅢの報告に、ヴィラルは苦々しそうに舌打ちした。 たとえよく似た別物だと理性では解っていても、本能がこの巨大ガンメンに刃を向けることを拒絶している。 だがヴィラルを余所に、重厚な駆動音を轟かせながらテッペリンもどきが動き出した。 長い戦いになりそうだな……腹を括るヴィラルの〝中〟で、リインフォースⅢも表情を引き締める。 第二ラウンドの火蓋が、切って落とされた。 思い出すのは無限の大空、どこまでも続き広がる風と雲と光の世界。 魔力色の絵具を持ち寄り、三人で挑んだ蒼穹のキャンパス……だけど完成した「絵」は、いつの間にか涙で滲んでいた。 大空を舞い踊る四基の刃金の鳥――ブラスタービットを周囲に従え、少女は手の中の愛杖をくるくると回す……その左右にはもう一つずつ、別の誰かの影があった。 右手に漆黒の戦斧を携える黄金色の髪の女性と、騎士杖を右手に握り左手に魔導書を抱えた白金色の髪の女性。 どちらも少女にとって掛け替えの無い大切な存在であり、右手に握られる魔杖の〝かつての主〟も、親友として絶対の信頼を置いていた者達。 「スターズ1、中距離火砲支援……とゆーか一番槍、いきまーす!!」 緊張感に欠ける名乗りと共に少女が虚空を踏み締め、まるで長銃でも扱うかのように杖を水平に構えた。 足元に虹色の魔法陣が展開され、光の粒子が杖の先端に集束する。 「エクセリオンバスター」 まるで龍が火炎を噴くかのように魔杖の先端から光の奔流が撃ち放たれ、雲の壁を突き破りながら真っ直ぐに蒼穹を貫いた。 空を突き進む少女の砲撃を追うように、続いて黄金色の髪の女性が動いた。 砲撃の軌跡をなぞるように高速で敵陣に突入し、掌から雷撃の槍が無数に撃ち出す。 「行って、ブラスタービット」 少女の指示を受けた魔杖の分身――ブラスタービットが敵陣に突入し、変則的な軌道でバラバラに飛びながら確実に敵を撃ち落としていく。 更に四基のブラスタービットを制御しながら、少女は魔杖本体からも魔力弾を撃ち続ける。 「おー、大したもんやなぁー」 黄金色の女性の動きを妨げることなく、五つの砲台を駆使して巧みな援護を行う少女の技量に、傍らで呪文構築中の白金色の髪の女性が感嘆したように声を上げる。 「砲撃魔法は高町家のお家芸だから。これ位出来なきゃ、ママに顔向け出来ないよ」 「でもなのはちゃん家て確か剣道家やったよね、鉄砲は専門外ちゅーか寧ろ御法度ちゃうんか?」 無関心を装うように素っ気なく、しかし照れたように頬を緩ませながら応える少女に、白金色の女性は悪戯っぽい笑みを浮かべてツッコミを入れる。 ぴしりという擬音でも聞こえてきそうな程に見事に固まる少女に小さく笑みを零し、白金色の女性は呪文の最終段階に入った。 「詠唱完了……二人とも準備はええかぁ?」 白金色の女性の音頭を受けて黄金色の女性が飛び退くように敵群から距離を開け、少女もまた気を引き締めるように杖を握り直した。 「響け終焉の笛、ラグナロク……」 白金色の女性の前面に正三角形の、足元に円形の魔法陣が展開され、魔力の粒子を集束させながらゆっくりと回転を始める。 「雷光一閃、プラズマザンバー……」 黄金色の女性の周囲に金色の光の球体が顕現し、戦斧から変形した大剣の刀身に電光が迸る。 「スターライト・エクセリオン……」 呼び戻した四基のブラスタービット、そして手元の杖それぞれの前面に一枚ずつ、合計五枚の魔法陣を展開し、少女が魔力を充填する。 ビシリ……許容量を遥かに超える過剰な魔力供給に、魔杖の表面に亀裂が入った。 泣き叫ぶ愛杖の悲鳴を全身で聴きながら、それでも少女は力を籠め続ける。 そして――、 限界を超えた魔力負荷に耐えきれなくなったブラスタービットが、音を立てて爆ぜ砕け散り、 「「「トリプルブレイカー!!!」」」 怒号と共に撃ち出された三色の破壊の光が、敵の群れを跡形も無く消し飛ばした。 「……何や、懐かしいなぁ」 敵を一掃し、静寂を取り戻した空を見渡しながら、感慨深そうに呟く白金色の女性に、少女は「え?」と顔を上げた。 「うん……昔を思い出す」 懐かしそうな声で同意する黄金色の女性に、少女は困惑の色を強める。 「ウチとフェイトちゃんと、そしてなのはちゃんと……三人一緒の空なんて、きっともう無理やって諦めてた」 「ずっと三人一緒だと思ってた子供の頃、三人揃えば何でも出来るって信じてたあの頃……ちょっとだけ、思い出しちゃった」 少しだけ淋しそうに、しかしどこか嬉しそうに笑う二人に、少女に心境は複雑だった。 この二人の眼は自分を反射しているが、決して自分を〝見て〟はいない、 自分を通して、他の誰かを見ている。 その〝誰か〟は、少女にとっても大切な人で、大好きだった人で、ずっと胸の中で生きている強い人。 魂の半分を分かち合う、大切で大好きな憧れの人……だけどそれは決して自分では、少女その人ではない。 「ヴィヴィオはなのはによく似てるよ」 金色の女性、少女にとっては第二の母親とも言える優しい人の、何気ない一言。 決定的な科白だった。 ずっと追い掛けている背中と重ねられる、そのこと自体は悪い気分ではない。 だけど自分の中の、喪ってしまった人の面影だけに目を奪われ、肝心の自分自身を見てくれないのは淋しかった。 手をのばせば誰かの温もりを感じられる場所にいながら、それでも少女は孤独だった。 零れた涙は、晴天を滑り落ちるたった一粒の雨となり、無限の蒼穹の中に消えていった。 それは涙の味のするセピア色の思い出、三人で飛んだ最初で最後の空の記憶だった。 テッペリンもどきの戦艦級巨大ガンメン――墓守の機械仕掛けの双眸に光が灯り、圧倒的な熱量を孕む光の奔流がエンキとグレンラガンへと撃ち放たれる。 迫り来る敵の光線にエンキは鋼鉄の楯を、グレンラガンはドリルの傘をそれぞれ広げ……次の瞬間、二体の背中をガジェットの光線やミサイルが突如襲った。 テッペリンもどき参戦のインパクトで押され、その存在をすっかり忘れていた本来の敵の不意打ちに体勢を崩したエンキ達を、墓守の光線が正面から直撃する。 「がぁっ!?」 『うわっ!!』『きゃあ!!』 苦悶の悲鳴を上げながら吹き飛ばされる二体に追い討ちを掛けるように墓守がハンマー状の左腕を持ち上げ、そして勢い良く振り下ろした。 速度を増しながら迫り来る墓守のハンマー、視界一面を覆い隠すその巨大な「天井」を見上げ、エンキが頭頂部のリングに光を灯し、グレンラガンが右腕のギガドリルを構える。 エンキのリングが光る、煌めく、照り輝く。 グレンラガンのドリルが回る、周る、廻る。 身の丈の何倍にも膨張巨大化したグレンラガンのドリルが唸りを上げ、激烈な輝きを宿したエンキのリングの中心で光が弾ける。 そして――、 「エンキ・サン・アタック!!」 『『ギガドリルブレイク!!』』 気合いと共に同時に撃ち放たれたエンキの砲撃とグレンラガンの突撃が、ハンマーの天井を粉砕した。 「『俺達を誰だと――』」 爆発する墓守の左腕を背景に決め台詞を口にするヴィラルとギミー、だが二人の言葉は、横合いから鳴り響く風切り音によって掻き消された。 黒煙を突き破り、鋼鉄の三本指が二体のガンメンに迫る……あれは、墓守の右腕! 咄嗟に回避行動に移るエンキとグレンラガンだが、二体を取り囲むように隙間なく密集したガジェット達が壁のように逃げ場を塞ぐ。 横薙ぎに振り抜かれる墓守の巨大な右手が三本指を大きく広げ、進路上のガジェットを無慈悲に巻き込みながら二体に肉薄し――、 (報告。光速螺旋転移反応を確認、探索艇とパターン一致) 冷静に告げられるリインフォースⅢの報告と共に、ガジェットの壁をこじ開けながら二体の傍から突き出された〝もう一本の巨大な右腕〟が、墓守の右手を掴み引き千切った。 『おまたせ! ダイグレン、定刻通りにただ今到着よ!!』 「完全無欠の大遅刻だ!!」 通信ウィンドウに表示された厚化粧の男――リーロンの上げた名乗りに、ヴィラルは反射的に怒鳴り返した。 モニタースクリーンの側面を占領する、艦に手足を取り付けたような姿の巨大ガンメン――ダイグレン級戦艦ガンメン〝ダイグレン〟、二体と共に地上に降下し、そして消息を絶っていた探索艇である。 敵の増援を感知し、墓守が新たな動きを見せた。 髑髏を彷彿とさせる胴体部の顔が大口を開け、舌のように口内から突き出したカタパルトから艦載機が弾丸のように撃ち出される。 次々と発進するガンメン達、それらもまたヴィラル達にとって見覚えのある機体ばかりだった。 まるで毬栗のように鋭い突起に覆われたガンメン、キングキタン。 猿を模した顔に飛蝗のような脚のガンメン、キッドナックル。 バズーカ砲を背負った飛蝗型ガンメン、アインザー。 隣り合わせに繋がる双つの顔それぞれの口の中から腕を生やしたガンメン、ツインボークン。 頭頂部に髷型の飾りのある、ずんぐりとした体躯のガンメン、モーショーグン。 まるで兎の耳のような長い両腕をだらりと下ろした、ほっそりとした体躯のガンメン、ソーゾーシン。 かつて救世主シモンの駆るグレンラガンと共に地上を奪還し、十年前の最終決戦で隔絶宇宙に散った大グレン団のガンメン達が勢揃いしていた。 刃のように鋭利な手足を持つガンメン、ビャコウ。 目玉のような紋様の描かれた翼を両肩から生やしたガンメン、セイルーン。 まるで甲羅のように巨大な顔を逆さに背負ったガンメン、ゲンバー。 両足の爪で球形のバーニアユニットを握った飛行用ガンメン、シュザック。 十七年前、地上奪還のために戦う大グレン団を苦しめ、そしてグレンラガンのドリルに倒された人類掃討軍幹部のガンメン達が集結していた。 『あらあら、まるで同窓会ね』 「……いや、寧ろ夢か冥府の棺の中にでも迷い込んだような気分だな」 リーロンの皮肉に、ヴィラルはどこか開き直ったような面持ちで鼻を鳴らす。 墓守の口の奥から最後の艦載機、八重歯の鋭い真紅のガンメンが撃ち出された。 ギャンザ――かつて、それがあの機体の名前だった。 まだヴィラルが人類掃討軍として部隊を率いていた頃、小隊長機として螺旋王から賜ったカスタムガンメン。 しかし地上に出た人間達に鹵獲され、ギャンザは新しい名前と姿を得て生まれ変わった。 獣人からガンメンを奪った漢の率いる軍団の名を冠した真紅のガンメン、地上奪還の旗印。 その名は――、 「――なぁ、グレン」 ヴィラルの眼光が、モニタースクリーンに映る宿敵を射抜いた。 もしも、今この世界が夢であるならば……それは飛びきりの悪夢だろう。 「――ィオ? ……ヴィオ!」 「……へ?」 はやての声に、少女はふと我に返った。 手前の車椅子に視線を落としてみれば、はやてが心配そうな顔で自分を見上げていた。 「何や怖い顔しとるけど、どっか調子悪いんか?」 「え!? い、いや……別にそんなことないよ?」 慌てて取り繕う少女にそれ以上の追及をすることなく、はやては目の前の自動扉に視線を移した。 鋲で打たれた金属製の表札にはメンテナンスルームと書かれている、いつの間にかフロアを一周していたようだ。 「ちょーど良かった、ちぃとここに用事があったんや」 そう言って自力で車椅子の車輪を回しながら自動扉を潜り、メンテナンスルームの中に消えていくはやての背中を、少女は慌てて追いかけた。 少女のデバイスの完全修復には、もう少しだけ時間が必要らしかった。 修復ポッドに入れられた赤い宝玉を一瞥し、少女は先行するはやてを追って薄暗い部屋の中を足早に進んでいく。 メンテナンスルーム最奥部に設けられた小さな部屋、管理局の擁する一人の天才に宛がわれた個人的な工房が、はやての目的地だった。 「おや?」 客人の来訪に部屋の奥で機材を弄る白衣を着た黒髪の少年――この工房の若き支配者が、作業する手を止めて二人を振り返った。 眼鏡の奥から覗く金色の双眸が、電灯の光を受けて煌めく。 「これはこれは……ようこそ、はやて部隊長殿。そしてごきげんよう、愛しい聖王陛下――いや、今は螺旋王と呼ぶべきかな?」 仰々しい仕草で一礼する白衣の少年に、少女は聖王という単語に一瞬不愉快そうに表情を歪め、はやては苦笑しながら口を開く。 「こんにちは、スカリエッティ。首尾の方はどうや?」 「上々だ、君の案件は実に素晴らしかった……」 早速話の本題に入るはやてに、スカリエッティと呼ばれた少年はそう言って氷のような笑みを浮かべる。 「融合騎を一から創り上げるというのは、この身に刷り込まれたオリジナルの記憶を含めても初めての経験でね、中々楽しい工作の時間だったよ。 ちょうど今し方最終調整が済んだところだ、そういう意味でも君達は実にタイミング良くやって来た。完成した品はほら……あそこだ」 スカリエッティが指差した先――工房の中央に設置された作業机の上には、見覚えのある剣十字型のペンダントと、見慣れない大冊が置かれていた。 人工皮製の表紙に四本の角を生やした目玉のような趣味の悪い装飾の施された真新しい大冊は、恐らく魔導書型デバイスだろう。 そしてその傍らに置かれたペンダント、細い鎖に繋がれたあの金色の剣十字は――、 「はやてちゃん、それって……」 驚愕に目を見開きながら剣十字を指差す少女の言葉を黙殺し、はやては机上のペンダントを拾い上げた。 「待望のご対面やで……リイン」 はやての呟きに応えるように掌の中の剣十字が淡い光を放ち、まるで御伽噺の中の妖精のように小さな少女が顕現する。 これは、何かの夢だろうか……はやての掌の上に浮かぶ妖精の少女を映す己の双眸を、彼女を認識する己の脳神経を、少女は本気で疑った。 腰まで届く銀色の髪、横顔から見える大空のように澄んだ蒼い左眼――リインフォースⅡだ、リインフォースⅡがそこにいる。 容姿は死んだ筈の少女の友人、消えた筈のはやての家族が、しかし目に前で元気に動いて、飛んで、そしてはやてと喋っている! 今、ここに生きている……。 「リイン……」 呆然と呟く少女の声に反応したように、リインフォースⅡらしき少女が顔を向ける。 まるで鏡合わせのように喪った友人と瓜二つの顔に、しかし一つだけリインフォースⅡと違うところを少女は見つけた。 右眼だ――リインフォースⅡの右眼は左眼と同じ空色だったが、この少女の右眼は夕焼けのように紅い。 オッドアイ、自分と同じ……大好きな人の面影に混ざる自分との意外な共通項に驚きながら、少女は目の前の妖精が、消えた友人とは似て非なる存在であることを思い知った。 その時、リインフォースⅡによく似た少女が口を開いた。 少女の二色の瞳を真っ直ぐに見上げ、 「おはようございます、マイスターヴィヴィオ。私はリインフォースⅢ、貴方の楯」 はっきりと、そう口にした。 鳴り響く銃声が大気を振るわせ、轟く砲哮が大地を揺らす。 『うぅぅぅおおおおおおおおおおおおぉっ!!』 ギミーの気合いを共にグレンラガンの全身から無数のドリルが突出し、鼠花火のように不規則な軌道を描きながら四方八方に撃ち出される。 降り注ぐドリルの豪雨を掻い潜ったガンメン達の前に、白い影が立ち塞がる……エンキだ。 『死人は死人らしく土の中で眠っていろ!!』 ヴィラルの怒号と共に大口を開けたエンキの体内から幾つもの銃器が迫り出し、撃ち放たれた無数のミサイルが無人機の軍勢を呑み込んだ。 荒涼とした死と静寂の世界は、すでにその面影すらも消え失せていた。 吹き抜ける風は硝煙の香りに侵され、砂の海は鉄屑と鉛玉の山に埋もれている。 絶え間無く飛び交う銃弾の大群はまるで異常発生した蟲のように蒼穹を覆い隠し、ミサイルが雲のように空を流れ、光線が雨のように地上に降り注ぐ。 それはまるで宴だった。 埃塗れのおもちゃ箱から掘り起こされた絡操仕掛けのホスト共と、聖域に土足で踏み込んだ招かれざるゲスト達が全力全開でぶつかり合う、破壊と殺戮の宴だった。 襲い来る凶弾の猛威を耐え抜き、ガンメン軍団がガジェットを従えエンキ達に襲い掛かった。 数えきれない程の銃弾が、ミサイルが、光線が、たった二体の脅威を墜とす為だけに惜しみなく撃ち込まれる。 だが過剰苛烈とも言える敵の攻撃は、しかし一発とてエンキ達に届きはしなかった。 まるで天地が逆転したかのように地上から空へと降り注ぐ鋼の雨――ダイグレンの対空砲火による弾幕のカーテンが、撃ち込まれる敵の砲撃を相殺していた。 ダイグレン前面に搭載された九門の主砲、更に両肩と腰回りに設置された副砲が合計三十四門、その全てが一斉に火を噴き、空を覆うガジェットの軍勢を薙ぎ払う。 ずん……ダイグレンが一歩足を踏み出す度に、その圧倒的な質量に大地が震える。 周期的に地を揺るがすその律動は次第にその頻度を上げていき、止まぬ地鳴りに呑まれるように廃墟が次々と崩れ落ちていく。 ダイグレンは走っていた。 全身の砲門から休みなく砲弾を吐き出しながら、山岳を思わせるその巨体からは想像もつかぬ俊敏さで地を駆けていた。 『ホウチョウアンカー!!』 怒号と共に突き出されたダイグレンの舳先、まるで包丁のように鋭く幅広い衝角が、凶刃の如く墓守に迫る。 十七年前、四天王シトマンドラの駆るカスタムガンメンをその母艦ごと両断し、テッペリンの左腕を砕いてみせたダイグレンの包丁が、墓守の巨体を串刺しにした――否! 「……やるわね」 ダイグレンの艦橋がどよめきに包まれる中、リーロンが戦慄にも似た笑みと共に賞賛の言葉を呟く。 山をも切り裂くダイグレンの包丁を、墓守は食らいつくように上下の顎門で挟み受け止めていた。 包丁の表面に細かな亀裂が広がり、音を立てて砕け散る。 噛み砕かれた……物理的な意味でも精神的にもブリッジが衝撃に揺れる中、リーロンの双眸が不敵に光った。 「ミニサイズになっても、流石はあのテッペリンと言ったところかしら……でもね!」 コンソールを操作するリーロンの指先が流れるようにパネルを這い回り、入力された信号が光の速さで中枢システムに到達する。 瞬間、巨塔のようなダイグレンの両脚が大地を踏み締め、腰の捻りと共に振り出された鋼の拳が風切り音を轟かせながら墓守の左頬に突き刺さる。 体重の乗った見事な右ストレートだった。 だが墓守も負けてはいない……仰け反る身体を立て直し、途中から千切れた右腕をロケットのように垂直に打ち上げる。 カウンターで繰り出された墓守のアッパーカットがダイグレンの鼻面を抉り、真紅の巨体が破片を撒き散らしながら斜めに傾く。 踏鞴を踏み、倒れそうになる艦体を立て直したダイグレンが、両腕を矛のように墓守へと突き出した。 ダイグレンの貫手に正面から応じるように、墓守もまた壊れた両腕を正面に振り出す。 まるで力比べでもするかのように互いの手と手を正面から組み合う二体の戦艦級巨大ガンメン、そのパワーは拮抗し、互いに押しも引きも出来ぬ膠着状態に陥っていた。 だが、それで良い……リーロンの唇が薄く吊り上がる。 邪魔な墓守の動きは止めた、これで本命の〝ゆりかご〟に近付ける。 「オッケーよ、二人共! 遠慮なく征っちゃいなさい!!」 リーロンの発破に応えるように紅蓮色の閃光が空を貫き、墓守の脇を抜いて〝ゆりかご〟へと一直線に迫る。 『『グレンラガンインパクト!!』』 ギミーとダリーの怒号と共にグレンラガンの下半身がドリルに変わり、唸りを上げて高速回転しながら〝ゆりかご〟の巨大な艦体に深々と突き刺さった。 ドリルを通じて二人の気合いの力、螺旋力が〝ゆりかご〟の中に流し込まれる。 グレンラガン――正確にはその中枢であるラガン――には、合体したメカを支配する特殊機能が搭載されている。 その力は搭乗者の螺旋力に比例し、理論上では如何なる巨大なマシンであっても支配することが可能と言える。 保護プログラムの壁を次々と突破し、ラガンは順調に〝ゆりかご〟の制御システムを制圧していく。 猛毒のように〝ゆりかご〟を侵食する螺旋力が、遂に制御中枢に辿り着き――瞬間、まるで拒絶されるかのようにグレンラガンの機体が〝ゆりかご〟から弾き出された。 「そんな、ラガンの支配に打ち勝った……!?」 「こんなこと、初めてだよ……」 グレンラガンの二つのコクピットそれぞれの中で、ギミーとダリーが愕然と呟く。 ラガンの支配を撥ね退ける程の強力な〝ゆりかご〟の自己防衛プログラム……一瞬の接触ではあったが、そこには〝意思〟のようなものさえ感じられた。 もう一度だ……再びドリルを構えるグレンラガンの周囲を、墓守のガンメン軍団が取り囲む。 エンキ達の一斉射撃やダイグレンの集中砲火をまともに受け、ボロボロになりながらも未だに動き続ける鋼の巨人達は、まさに黄泉から迷い出た亡者と呼ぶに相応しい。 「こいつら……!」 邪魔な障害を纏めて薙ぎ払うべく、ギミーは操縦桿を握る両手に力を籠めた。 迸る螺旋力が血流のようにグレンラガンの全身を回り巡り、右腕のギガドリルに集束する。 「ギガドリル――」 ギガドリルを構え、必殺の一撃を放とうとするグレンラガンの前に、その時一体のガンメンが立ち塞がった。 他のカスタムガンメン達よりも一回り大きな体躯に、隣り合う双頭の口内から一本ずつ腕を生やした異形のガンメン――ツインボークン。 「あ……」 操縦桿を握る両手から――否、ギミーの全身から力が抜けていく。 記憶の蓋がこじ開けられ、溢れ出す思い出の濁流に意識が流され呑み込まれていく。 思い出すのは十年前、隔絶宇宙での敵艦隊との戦い……圧倒的な戦力差に母艦に逃げ帰ることしか出来なかった仲間達、絶望的な戦いを挑み笑いながら死んでいった先輩達。 そして傷ついた自分達二人を最後まで護り抜き、敵の砲撃の中に散っていった双子のガンメン乗り。 思い出してしまう、蘇ってしまう……彼らの最期の言葉が、自分達に託された彼らの遺志が。 ――ギミー、ダリーを守れ。 ――生きろよ、俺達の分も。 今でも耳の奥ではっきりと響く彼らの遺言、その科白の何と重いことか。 「ジョーガン、バリンボォ……」 両手が操縦桿から滑り落ち、コンソールの螺旋力ゲージが急速に落ちていく。 駄目だ……モニタースクリーンに映るツインボークンから視線を逸らし、ギミーは掌で顔を覆った。 たとえ偽物と解っていても、自分はジョーガン達と、大グレン団の皆と戦うことは出来ない。 完全に戦意を喪失し、ラガンのコクピットで力無く項垂れるギミー、その思いはグレンのパイロットシートに座るダリーも同じだった。 まるで電池の切れた玩具のように沈黙するグレンラガンを、ガンメン達の砲撃の光が呑み込んだ。 天元突破リリカルなのはSpiral 外伝「そんな、優しい夢を見ていた」(続) 前へ 目次へ
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長編 なのは やる夫はリィンバウムに召喚されたようです 元ネタ有り:サモンナイト やる夫は銀河の英雄『魔術師』になるようです 元ネタ有り:銀河英雄伝説 やる夫でいきなりトルネコ3 二次創作:トルネコの大冒険3GBA 完結済み ヒロイン:真紅・朝倉涼子・高町なのは やる夫がたった一人の最終決戦に挑むようです 二次創作:ドラゴンクエスト 完結済み やらない夫とやらない子は科学捜査をするようです 元ネタ有り 完結済み(外伝製作中) ヒロイン:やらない子・高町なのは・涼宮ハルヒ やる夫がフロンティアでハンターになるようです 元ネタ有り:モンスターハンター 途中にて板変更 やる夫達は嘘を重ねるようです オリジナル 完結済み フェイト・テスタロッサ やらない夫のワールドネバーランド 元ネタ有り: ワールド・ネバーランド ~オルルド王国物語~ ヒロイン:黒井ななこ、イリヤ、秋元こまち、フェイト・テスタロッサ、アイビス・ダグラス シグナム やる夫のWA4 元ネタ有り:WILD ARMS the 4th Datonator 過去ログ直リンク やる夫がファルガイアを救うようです 元ネタ有り:WILD ARMS ヒロイン:朝倉涼子・シグナム やらない夫は教師になるようです 元ネタ:サモンナイト3 ヒロイン:巡音ルカ・シグナム・ルイズ・紅月カレン・ティアナ やらない夫は騎士な義妹と仲良くなりたい オリジナル ヴィータ やる夫と愉快なニートども オリジナル 完結済み 働きたくないでござる ティアナ・ランスター やらない夫は教師になるようです 元ネタ:サモンナイト3 ヒロイン:巡音ルカ・シグナム・ルイズ・紅月カレン・ティアナ チンク やらない夫の月は綺麗なようです オリジナル ヒロイン:雪華綺晶・やらない子・ナギ・弱音ハク・チンク
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